音楽ライブみたいな熱量の高いイベントも。エンタメテックでゲーム実況やライブ配信のコミュニティを築く | OPENREC ✕ NTTドコモ・ベンチャーズ | 株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ

Activities

2025.04.15

音楽ライブみたいな熱量の高いイベントも。エンタメテックでゲーム実況やライブ配信のコミュニティを築く | OPENREC ✕ NTTドコモ・ベンチャーズ

音楽ライブみたいな熱量の高いイベントも。エンタメテックでゲーム実況やライブ配信のコミュニティを築く | OPENREC ✕ NTTドコモ・ベンチャーズ

2025年、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ(以下「NDV」)は、ゲーム実況やライブ配信が楽しめる「OPENREC.tv」を運営する株式会社OPENREC(以下「OPENREC」)への出資を発表しました。

OPENREC.tvは、アイドルや声優、タレントなどのインフルエンサーによるオリジナルコンテンツ生配信に加え、リアルでのイベントも開催。2日で4万人が集まる盛況ぶりです。

そんなOPENRECとドコモは、どんな共創プランを描いているのでしょうか。コミュニティが強みであるというOPENREC.tvのサービスはどのように進化してきたのか。OPENREC代表の兵頭陽さんと、NDVの投資担当である山口明久美に話を聞きました。

OPENRECの兵頭陽さん(左)と、NDVの山口明久美
OPENRECの兵頭陽さん(左)と、NDVの山口明久美

ゲームなどをライブ配信。強みは「コミュニティ」

── 「OPENREC.tv」について教えてください。

兵頭(OPENREC):
OPENRECが運営しているのは、ゲームを中心としたライブ配信プラットフォーム「OPENREC.tv」です。アイドル、声優、タレントといったインフルエンサーが、ここでしか見られないコンテンツを生配信したり、イベントを開催したりしています。

兵頭 陽 | HYODO Akira 株式会社OPENREC 代表取締役社長 CEO
兵頭 陽 | HYODO Akira
株式会社OPENREC 代表取締役社長 CEO
2013年、株式会社サイバーエージェントに入社し、CyberZに配属。スマートフォンアプリ向け広告マーケティングに従事し、同年のサイバーエージェント社員総会で「新人賞」を受賞。その後、APAC地域での広告事業展開を牽引し、2015年にCyberZ台湾・韓国支社の取締役、2016年にはCyberZ USA代表および海外事業部局長に就任。2019年よりCyberZの取締役にも就任し、OPENREC事業部の責任者として動画配信事業を統括するなどエンターテイメント分野での事業拡大を推進した。
2022年12月、株式会社OPENRECを設立し、代表取締役社長 CEOに就任。

兵頭(OPENREC):
OPENREC.tvは単にコンテンツを配信しているだけではありません。その特徴はコミュニティです。配信者と一緒にドラマ鑑賞会やオンライン飲み会をしたり、お悩み相談会を開催したり、クローズドなチャットグループで会員同士がコミュニケーションを取ったりと、ユーザーが色んな角度から楽しめるような空間を用意しています。

── 収益モデルはどのようになっていますか?

兵頭(OPENREC):
元々は配信に対する広告や投げ銭モデルでビジネスを成立させようと考えていたんです。でもサービスリリース後にYouTubeやTwitch、SHOWROOM、ミクチャといったサービスが出てきたこともあって考え方を変え、2019年頃からはコミュニティベースのサブスクリプションモデルに切り替えました。この変更はコミュニティとの親和性も高く、結果的に良い変更となっています。

── OPENREC.tvのユーザーにはどんな方が多いのか、教えてください。

兵頭(OPENREC):
当初は男性が多かったのですが、この1〜2年で女性の視聴者やイベント来場者が増えてきました。女性で9割埋まるイベントも珍しくありません。女性の熱量を実感していて、生配信コンテンツのマス化を感じています。

またOPENREC.tvのユーザーは、35歳以下が全体の約85%を占めています。何十年と続くコミュニティやIPを作って、配信者と視聴者とサービスが一緒に年齢を重ねられるようにしていきたいです。

── 配信されているコンテンツにはどんな種類があるのでしょうか。

兵頭(OPENREC):
ゲームが半分程度で、他にも歌やカラオケ、雑談、料理、スポーツなど、バラエティに富んだ配信が行われています。配信者は一般の方にとどまらず、芸能人やタレントなど、幅広い層に利用されているのも特徴です。

彼・彼女らと一般の方がゲームなどでコラボレーションするのもOPENREC.tvの面白いところです。狙ったわけではありませんが、こういった文化が生まれたのは非常に良かったと感じています。

── 配信者がいて、そこにファンが集まっているんですね。

兵頭(OPENREC):
はい。ファンクラブではなく、1対nの無料配信でもなく、あくまでその間のコミュニティです。そのため、配信・視聴の関係だけど、より近い距離感を保てるような機能の開発にこの5年ほどは集中してきました。

また、これらの機能はすべて内製化していて、データはすべて社内で管理しています。そのため例えば「イベントには来ているけどコミュニティに入っていない人」「コミュニティには入っているけれどグッズを購入していない会員」なども把握して、対策を打てるようにしました。

と言うのも、ユーザーから「『こんなことやっていたんだ』と後から気付いた」なんて言われることが多かったんです。配信者の活動にちゃんと気づいて興味をもってもらえるようにコミュニケーション設計するのも重要だなと思い、そこへ力を入れている、というわけです。

── 確かに、気になる配信者全員のすべての活動を把握するのは大変そうです。

兵頭(OPENREC):
今は情報過多の時代なので、キャッチアップできない情報が多いんですよね。自分自身もそうです。そんな時に「こういうことをやっているよ」とストレスなくコミュニケーションできたら会員のメリットになるはず。もちろんグッズを買う / 買わないは個人の自由ですが、そもそも認知できていないというのは、会員にとっても配信者にとってもいいことではないですからね。

熱量の高いイベント。2日間で4万人が集まるイベントも

山口(NDV):
せっかくなので、私からもOPENRECの素敵なところを説明させてください。

山口 明久美 | YAMAGUCHI Megumi 株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ Investment & Business Development Director
山口 明久美 | YAMAGUCHI Megumi
株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ Investment & Business Development Director

NTTドコモに新卒入社後、ドコモショップ代理店向けのパートナーセールス、食に関わる新サービス企画、飲食店向け法人営業、子会社の事業支援、社長秘書、事業法関連戦略策定、省庁向けの渉外担当、NTTグループ連携等、通信事業の根幹と次なる事業発展に向けた、あらゆる業務に従事。個人的な興味領域は食、農業であり、週末はレンタル農園で野菜の栽培に精を出している。
2020年に青山学院大学大学院にてMBAを取得。2024年7月より現職。

山口(NDV):
動画配信系のコンテンツを扱っていて、月額のサブスクリプションで安定的に高収入を得ている事業者は多くないと思います。その中で仕組みを作り上げているのは素晴らしいですよね。

またOPENRECは流入口を複数設けて新規ファンを獲得する施策を打ちながら、定期的なイベントでファンの熱量を上げ、ユーザーを逃さないようにしている。こういったビジネスモデル上の工夫も面白いと感じています。最近も大きなイベントを開催していましたよね。

兵頭(OPENREC):
ゲームバトルイベント「VERSUS」ですね。日本を代表する配信者・ストリーマー10人以上が2チームに分かれて対戦したイベントで、2日間にわたって合計6タイトルの得点合計で競うという構成でした。2日合計で1万4千人ほどが来場していて、複数日開催のイベントはこの業界では珍しいかと思います。ちなみに、過去には2日間合計で4万人を集めたイベントもありました。

山口(NDV):
VERSUSには私も参加しました。ゲーム配信イベントに参加したことがないと想像しにくいかもしれませんが、壇上に机とPCがブワーッと並んでいるんですよ。それで配信者が掛け合いをしながらゲーム対戦をしていくんです。その掛け合いが芸人のそれさながらの面白さ。ゲームの解説者もいて、ゲームに詳しいわけではない私でも楽しめました。配信者のタレント性が本当に素晴らしいんです。皆さんファンが付いていて推し活になるのもわかります。参加者の熱量の高さに驚きました。

── 音楽なら音源ではなく、ライブ感を求めて会場に行きますが、ゲーム配信も同様なのでしょうか。

兵頭(OPENREC):
そうですね。ライブイベントだとやはり現場の掛け合いや緊張感が伝わってきますし、音楽ライブと遜色ないぐらい歓声が上がります。そういった非日常体験こそが本質的な価値ではないでしょうか。

両社の共創はマスカルチャー × サブカルチャー

── NDVがOPENRECに投資した経緯を教えてください。

山口(NDV):
OPENRECはNDVの既存投資先である株式会社Minto代表の水野和寛さんから紹介いただいたんです。

兵頭(OPENREC):
Minto社は自分たちのキャラクターIPを活用した事業を国内外で成功させているスタートアップです。OPENRECもIPを保有するケースが多いので、その相談をしていたところ「エンタメ領域だとドコモが力を入れている」と聞き、NDVを紹介いただきました。

山口(NDV):
正直に言うと、私自身はこれまであまりゲームをしてこなかったですし、OPENRECに出会うまでゲーム配信を見たこともなく、ドコモとどうやってコラボできるのか、すぐに想像はできませんでした。しかし事業内容を詳細に聞いていくと、今ドコモが注力しているエンタメやスポーツとも重なっている領域があり、協業の可能性を感じたんです。

── お互いにどのようなシナジーを期待していますか?

兵頭(OPENREC):
ドコモは日本を代表するブランドで、国内最大の通信キャリア基盤でもあります。そのブランド力や基盤とはぜひ連携していきたいです。

またOPENRECは「エンタメテック」の要素も高めていきたいと考えています。先述したデータベースを活用したCRMもその一つです。ドコモはdポイントや位置情報、デモグラフィックを含めたキャリア関連のデータを細かく管理してマーケティングしていますよね。そのノウハウも学びたいですし、データ連携もしたいと考えています。

山口(NDV):
まだ出資したばかりなので詳細はこれから詰めますが、まずは映像配信サービス「Lemino」との連携を模索しています。

兵頭(OPENREC):
Leminoは音楽やスポーツといった「マスカルチャー」に強いと認識しています。一方でOPENRECが得意なのはゲームを中心とした「サブカルチャー」。両者は別物のようで、意外と相性がいいんです。例えばOPENRECでも音楽やスポーツコンテンツのニーズはありますし、逆にスポーツ好きでゲーム好きな方だっていますよね。とはいえ両者のコンテンツの作り方は異なるはず。ドコモとOPENRECが協力すれば、質の高いコンテンツを制作できると思っています。

また近年、ゲームに関わる年齢層が上がっています。OPENRECのデータを見てもそうです。そうするとお子さんのいる視聴者も増えるので、子ども向けのコンテンツとの垣根をなくしたほうが、OPENRECとしてのエンタメの裾野が広がるかもしれません。将来的にはドコモが保有するそういったコンテンツとの協業も模索していきたいですね。

山口(NDV):
先述のようにOPENRECは数万人規模のイベントも開催しているので、ドコモの運営するスタジアムやアリーナとも連携したいですし、年間で100件以上も開催しているというイベントのノウハウも学びたいです。

兵頭(OPENREC):
イベント共催については、水面下で話が進んでいます。ドコモはスタジアムやアリーナの運営権を取得しているので、そこでも絡んでいきたいですね。

兵頭(OPENREC):
また、OPENREC.tvは海外からのアクセスやログインも増えているんです。特に海外に向けてマーケティングしているわけでもないので、自然増ですね。いずれはちゃんと海外展開を考えないといけませんが、既に海外展開しているドコモや(株主である)セガホールディングスからアドバイスをいただいて、うまく連携していきたいです。

── 日本語での配信を海外の方が観ているんですね。

兵頭(OPENREC):
はい。音声は日本語で、ご自身で自動翻訳して観ている方が多いようです。中国語、英語はもちろん、サウジアラビア語やスペイン語で観ている方も少なくありません。

── 最後に、OPENRECの今後の展開を教えてください。

兵頭(OPENREC):
この数年OPENRECは、配信プラットフォームとしての機能を拡充してきました。配信基盤やサーバー構造なども大幅に変えています。次の5年は、コミュニティ形成に関する機能開発や企画へのリソース投下を強化していくつもりです。そうして強化されたコミュニティが、さらにプラットフォームとしての地位を押し上げてくれるでしょう。

次第に次のステージに行くための足場が整ってきました。ドコモとの共創も成し遂げながら、成長していきたいです。今後もよろしくお願いします。

山口(NDV):
こちらこそよろしくお願いします!

── NDVは引き続き、OPENRECを応援していきます。兵頭さん、山口さん、本日はありがとうございました。

(執筆:pilot boat 納富 隼平、撮影:ソネカワアキコ)