Mint Townが創る新しいエンタメの形とは? プラットフォームを見据えた第一弾は「ポイ活」 | Mint Town ✕ NTTドコモ・ベンチャーズ | 株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ

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2024.06.21

Mint Townが創る新しいエンタメの形とは? プラットフォームを見据えた第一弾は「ポイ活」 | Mint Town ✕ NTTドコモ・ベンチャーズ

Mint Townが創る新しいエンタメの形とは? プラットフォームを見据えた第一弾は「ポイ活」 | Mint Town ✕ NTTドコモ・ベンチャーズ

2024年、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ(以下「NDV」)は、ポイ活サービス「Mint Town」を提供する株式会社Mint Town(以下「Mint Town」)への出資を発表しました。同社が目指すのは、web3ゲーム全盛期のプラットフォーム。その第一歩として新感覚ポイ活サービス「Mint Town」を開発しています。

web3ゲームのプラットフォームができると、どのような世界が訪れるのか。そのための道筋は。第一弾となるMint Townはどんなサービスなのか。Mint Town社COOの守安功さんと、NDVでMint Town社への投資や共創を担当する寳野太貴に聞きました。

※以下、主に会社を指す場合は「Mint Town社」、サービスを指す場合は「Mint Town」と表記します。

web3時代に作る、ゲームのプラットフォーム

── まずはMint Town社の概要を教えてください。

守安(Mint Town):
Mint Town社を端的に表現すると、web3ゲームの会社です。「新しいエンターテイメント×経済圏を生み出す」をキャッチコピーに掲げ、単に遊べるだけでなく、web3ならではの「稼げる」「儲かる」というゲーム体験をユーザーに提供したいと考えています。

守安 功 | MORIYASU Isao
守安 功 | MORIYASU Isao
株式会社Mint Town 取締役COO

1998年、東京大学大学院(工学系研究科航空宇宙工学)修了、同年4月、日本オラクル株式会社入社。1999年11月、システムエンジニアとして株式会社ディー・エヌ・エーに入社。2004年に携帯オークションサイト「モバオク」、アフィリエイトネットワーク「ポケットアフィリエイト」、2006年2月には、「モバゲータウン(現:Mobage)」を立ち上げ、同年6月、取締役に就任。2009年4月、取締役兼COO就任。2010年4月、取締役兼ソーシャルメディア事業本部長兼COO就任。2011年6月、代表取締役社長兼CEO就任。2021年6月退任。2021年10月、株式会社タイミー取締役COO就任。2022年3月退任。同年6月、株式会社Thirdverseに入社。2023年5月、株式会社Mint Town取締役COOに就任。

── Mint Town社は具体的に、どのような事業を運営しているのでしょうか。

守安(Mint Town):
大きく「web3ゲーム開発事業」と「web3ゲームプラットフォーム事業」を運営しています。

まずはweb3ゲーム開発事業について説明しましょう。Mint Town社では既に『キャプテン翼 -RIVALS-』と『THE CHAIN HUNTERS』(2024年夏リリース予定)というweb3ゲームを開発しています。前者は他社IPを活用したゲームで、後者はオリジナルのJRPG(日本製のRPG)です。他のゲームの開発も進めています。

── 「web3ゲームプラットフォーム事業」では、ゲーム開発だけでなく、プラットフォームも作ろうとしているのですね。

守安(Mint Town):
はい。ゲームのプラットフォームはこれまで、家庭用ゲーム機ならPlayStationやSwitch、ソーシャルゲームはMobageやGREEが覇権を握ってきました。PCゲームなら今はSteamがその地位を占めています。しかしスマホにおいては「ゲームの」プラットフォームはありません。App StoreやGoogle Playを思い浮かべるかもしれませんが、これらはその存在が強すぎるが故に「アプリ全体の」プラットフォームになってしまっているんです。

しかしweb3ゲームにおいては、App StoreやGoogle Playがこのままこのポジションを保つかはわかりません。とはいえ将来的に、web3ゲームにマッチしたプラットフォームができるのは間違いないでしょう。だったら自分たちがそれを作りたい。そう決心し、ゲーム自体を作るだけでなく、将来的にゲームプラットフォームになり得るサービスの開発も進めているんです。

── web3ゲームのプラットフォームがあるとはどういう世界観なのでしょうか。

守安(Mint Town):
現在web3ゲームを遊ぼうとすると、ウォレットを作ったり、ブロックチェーンを選んだり、会員登録などがイチイチ必要になりますよね。ゲームプラットフォームがあれば、こういった設定を最初にしてしまえば、あとはゲームを選ぶだけで遊べるようになります。 web3ゲームを遊ぶためには、まずMint Town社が用意するプラットフォームに参加する。そんな世界にしたいですね。

── NDVはMint Townのどういった点に魅力を感じ、投資したのか、教えてください。

寳野(NDV):
web3の市場は一時盛り上がりを見せた後、今現在はちょっと落ち着いてしまっている状況です。とはいえ、NFTを使ったファンマーケティングなど、ブロックチェーンを始めとした新技術がどのように市場を形成していくのかは注視しています。web3ゲームも、新たな技術・ビジネスモデルとして可能性を秘めている。そこで注目したのがMint Townです。

寳野 太貴| HOUNO Taiki
寳野 太貴| HOUNO Taiki
株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ Investment Manager

東京工業大学大学院技術経営修士卒業後、株式会社NTTドコモに入社。入社後は岐阜支店において、ドコモショップ向けの販売コンサルティング業務に従事したのち、本社マーケティング部にてモバイル通信事業に関する中期戦略の策定や新規アライアンスサービスの立ち上げなどに従事。2021年4月にNTTドコモ・ベンチャーズ参画。

寳野(NDV):
守安さんとディスカッションを重ねる中で、将来像やビジョンから逆算し、ビジネスを構造化して戦略に落とし込む力は抜群に素晴らしいと感じました。組織として戦略を遂行していく力もMint Town社にはある。それで投資に至ったというわけです。

プラットフォームの前提となる、ポイ活サービス「Mint Town」

── それではweb3ゲームプラットフォーム事業について詳しく教えてください。

守安(Mint Town):
プラットフォーム自体の前に、その前提となる「Mint Town」の説明をさせてください。

私は株式会社ディー・エヌ・エー(以下「DeNA」)所属時代に、スマホゲームポータルのMobageを運営していました。web3ゲームプラットフォーム事業で目指しているのは「web3版のMobage」です。その足がかりとして最初に開発したのが「Mint Town」。新感覚ポイ活サービスです。

(提供:Mint Town)
(提供:Mint Town)

守安(Mint Town):
Mint Townのコンセプトは「Free Play to Earn」です。ユーザーはリワード広告を見るなどしてポイントを獲得。ポイントはゲーム内に用意されている各種ゲーム(初期はソリティアやスロットなどのカジュアルゲームなどが用意されている)にベットでき、ゲームに勝利するとポイントが増えるというわけです。貯まったポイントはdポイントやAmazonギフトカードなどに交換可能な仕組みとなっています。

日本や北米を中心にサービス展開を予定していますが、β版は既に43ヵ国でリリース。ゆくゆくは本格的にグローバル展開していくつもりです。

── 43ヵ国は、北米、東南アジアなど、特定の地域が多いのでしょうか。

固まった地域に展開するわけではありません。Mint Townは基本的には広告売上でビジネスが回っていく予定なので、ある程度の広告単価や案件が見込めそうなエリアを選定しました。

── ポイ活と聞くと、メインユーザーには主婦の方などをイメージしてしまい、web3ゲームと相性がいいわけではないような気もします。

守安(Mint Town):
リワード広告のポイントを貯める狭義のポイ活は、確かに主婦の方などが使われているケースが多いかと思います。でも、ポイ活と意識・表現するかはさておき、それこそNTTドコモのdポイントを貯めているという人は少なくないですよね。こういった広義のポイ活は、主婦のみならず、多くの国民に馴染みがあります。Mint Townはそこにエンタメ要素を加えたゲームにしていくつもりです。これが従来のポイ活との差別化になるでしょう。例えば今後、友達と一緒にポイ活をするという、コミュニティ要素を入れていこうと考えています。

web3ゲームのプラットフォームになるための道筋

── Mint Townがどうしてプラットフォームに繋がるのでしょうか。

守安(Mint Town):
ゲームデベロッパーからしたら、ユーザーがいないところにゲームを提供するインセンティブはありませんよね。そこで、モバゲータウンを開発した当初もそうしたのですが、最初は無料ゲームとコミュニティを用意することにしたんです。無料で面白いゲームを楽しめて、かつコミュニケーションがとれる場があったら、ユーザーはどんどん増えていきますよね。

── その第一弾として開発したのがポイ活サービス「Mint Town」というわけですね。

守安(Mint Town):
その通りです。将来的なweb3ゲームプラットフォームと親和性が高い分野をリサーチし、無料で遊べて、稼げて、コミュニティ要素を取り入れられるものとして、ポイ活を選びました。そのため、ゲームで稼いで換金できるという意味ではweb3ゲーム的な要素も備えているものの、Mint Town自体が必ずしもweb3ゲームというわけでもありません。

もちろん無料ゲームはMint Townだけではなく、これに続くゲームを開発していく予定です。今後、ポイント換金手段として暗号資産を扱う、独自トークンを発行するといったステップを踏んで、web3ゲームのプラットフォームを開発していくつもりでいます。いずれゲームを楽しんでくれるユーザーが数百万人、数千万人となり、web3ゲーム全盛期を迎えたときにweb3ゲームのプラットフォームになっていたいですね。

「稼げる」がゲームを進化させる

── Mint Town社は株式会社Thirdverseから分社化される形で設立されています。経緯を教えてください。

守安(Mint Town):
Mint Town社の前身であるThirdverseに僕が入社したのは2022年。元々運営していたVRゲーム事業に加え、web3ゲームやブロックチェーンゲーム事業を始めるにあたって声をかけてもらいました。VRゲームもweb3ゲームもそれぞれ資金需要がありますし、一緒に資金調達をするのも大変ということで分社化し、Mint Town社が設立されています。

寳野(NDV):
守安さんは元々、DeNAでMobageをはじめ、様々な形でゲーム事業に携わっていましたよね。web3ゲームのどこに可能性を見出したのですか?

守安(Mint Town):
僕がweb3ゲームやブロックチェーンゲームに興味を抱いたのは、新しいテクノロジーによってどんどん進化していくゲーム産業を牽引したいと思ったからです。

守安(Mint Town):
ゲームは最初、アーケードゲームから始まりました。これは1プレイ100円で遊び始め、コンティニューするために新たに課金してもらうというビジネスモデル。100円で10時間プレイされたら儲からないので、数分遊んでもらってゲームオーバーになり、コンティニュー課金してもらうという設計になっていました。その後、技術進歩により家庭用ゲーム機が出てきます。数千円でソフトを販売するので、今度はそれに見合った時間がプレイできる設計のゲームを開発するというビジネスモデルが採用されました。そしてインターネットとスマホの時代がやってきます。オンラインで常時接続が当たり前になり、課金方法は多様化。その中でも、最初は無料でゲームを楽しんでもらい、もっとゲームを効率的にプレイしたい方に課金してもらうという設計が隆盛を極めました。

しかしこの5年間程で、ゲーム性に大きな差異はなくなってきています。でもユーザーはもっと面白いものをどんどん求めてくる。クオリティが高いゲームではないと売れなくなってしまい、3年間という長い時間・100億円という多大な開発費をかけるゲームも出てきました。ユーザー獲得コストも上がってきて、今では新しいゲームを出してもペイしない。今、ゲーム業界は成熟化を迎えているんです。

寳野(NDV):
なるほど。そこでVRゲームやweb3ゲームが出てくるというわけですね。

守安(Mint Town):
その通りです。特にweb3ゲームでは、ゲームの性質が変わってきます。

これまでのゲームは基本的に「消費」するだけでした。しかしブロックチェーンを使えば価値の保存ができるようになり、結果としてユーザーが「稼げる」ようになります。ユーザーにとってのブロックチェーンゲームの最大の価値はこれです。消費するだけではなく稼げるという点が、ゲームに新しい遊び方をもたらすと僕は考えています。

守安(Mint Town):
例えば、僕が最初にプレイしたブロックチェーンゲームである「STEPN」。デジタルの靴を買ってただ歩くだけなら面白いとは感じませんが、「どうやったら稼げるか」と考えながらプレイすると楽しいんですよ。これは非常に面白い体験でした。

話をまとめると、ゲーム性が大事なのは大前提として、そこに金銭的な要素が絡むと、エンターテイメントとしての面白さが増す。運営が「稼げる」という戦略性をどのように設計するかで、ゲームの幅が変わってくる。これがweb3ゲームの魅力だと感じています。

ウォレット連携に世界展開。NDVとのシナジーは

── Mint TownとNDVとの共創についても聞かせてください。そもそもNDVは、エンタメ分野への投資も強化しているのですよね。

寳野(NDV):
はい。NDVの投資は、元々B2Bスタートアップへのものがほとんどでした。しかしNTTドコモ自体がコンシューマー向けサービスを提供する会社ですし、2023年に新しい投資方針を定めた際に、エンタメ系への投資も強化していくことにしたんです。その一環としてMint Town社に投資することになりました。

守安(Mint Town):
NDVはCVCなので、投資に際してはシナジーをどう設計するかが大事でした。それで投資前にNTT各社とディスカッションの場を用意してもらったんです。そこまで多少の苦労はありましたが、大体の方向性が決まってからはスムーズに投資検討が進んだのは印象的でしたね。

── Mint Town社のビジネスモデルをVCやCVCに説明すると、どういった反応が多いのでしょうか。

守安(Mint Town):
web3やブロックチェーン、クリプトという意味では、やはりこの分野への知見や興味によって反応は異なります。興味のある方はスッと理解してくれますし、そうでない方にとっては敷居が高いようです。また会社の方針で暗号資産などへの投資はできないという投資家も珍しくありませんでした。

寳野(NDV):
そんな中NDVはエンタメ系も強化していきたいということで、Mint Town社への投資に至りました。現時点で公表できる想定シナジーとしては、NTTグループのweb3事業を担っている株式会社NTT Digital(以下「NTT Digital」)との取り組みがあります。この会社が現在取り組んでいるのは、WaaS(Wallet as a Service)の開発。このサービスをMint Townのアプリケーションに組み込もうとしています。

守安(Mint Town):
前述の通り、Mint Townで獲得したポイントは、銀行振込はもちろん、dポイントやVisa eギフト、Amazonギフトカードなどに換えることが可能です。同様に今後は、ビットコインやステーブルコインにも交換できるようにしたいと考えています。そのためにはウォレットが必要ですが、既存のウォレットは一般ユーザーにとってまだまだ扱いが難しい。もっと簡単に使えて安心なウォレットサービスをNTT Digitalが開発してくれているので、それをMint Townに組み込んで、web3化を加速したいというわけですね。

とはいえ、web3やブロックチェーンの普及にはまだまだ時間がかかるでしょう。そういう意味ではNTT Digitalとの共創も、中長期的な目線で考えています。

寳野(NDV):
ウォレットという難しい話からしてしまいましたが、NTTドコモと連携することで、ポイ活の交換対象にdポイントを選べるようにもしています。Mint Townとdポイントの連携は、ユーザーにもメリットになるでしょう。

守安(Mint Town):
dポイントは交換対象として人気で、今でも「dポイントへの換金は10%増量」といったキャンペーンをやったりもしています。

またNTTドコモはdカードや回線、その他エンタメの課金系のコンテンツも保有しているので、広告出稿してくれる可能性もありますし、色々な事業部の方とお話しさせていただきながら、応援していただいていますね。

── 今後はどのような共創が期待できそうでしょうか。

守安(Mint Town):
Mint Townは海外展開を狙っているので、その際にNTTドコモのグローバルなネットワークを使わせていただきたいですね。

寳野(NDV):
確かに、NTTドコモ全体としてはアメリカや欧州、アジアにも拠点を置いていますし、ドコモグループのグローバル事業を統括する株式会社NTTドコモ・グローバルという新会社を2024年7月に設立予定です。今後の展開次第ではありますが、こういったところとの連携も視野に入れていきたいと考えています。

また、そもそもNTTグループはインフラを事業にしてきた会社なので、アプリケーション、特にエンタメやゲームといった楽しい企画は必ずしも得意というわけではありません。とすれば、コンテンツは割り切って外の方々と一緒に作っていくのも一手です。Mint Town社に限らずですが、色んなスタートアップと連携してそういった未来を作っていきたいですね。

守安(Mint Town):
web3ゲームプラットフォームというものの市場ができるかどうかもまだまだ不透明。できたとしてもグローバルではトップ1、2ぐらいしか生き残れないという、大きな挑戦です。NDVに応援してもらいながら、事業を進めていければと思います。

寳野(NDV):
投資検討に際しては、守安さんからweb3ゲームに関する様々な仮説を聞きました。Mint Townは現在、その仮説を一つずつ実証しているところです。その中でWaaSやdポイントの連携などを含め、NTTドコモなどの経営資源を使いながら、一緒に市場を作っていきたいですね。今後もよろしくお願いします。

守安(Mint Town):
こちらこそ、よろしくお願いします。

── 守安さん、寳野さん、本日はありがとうございました。

(執筆:pilot boat 納富 隼平、撮影:ソネカワアキコ)